2009年4月27日月曜日

楊家将



「斬れ」

女の声だった。横合いからぶつかり、馬から叩き落とし、もみ合った相手は子供のようだった。四郎と女は見つめ合った。不意に二十騎ほどが猛然と駆けてくる。両側から女を挟み込み、連れ去る。おかしな戦だった。敵軍の布陣は勝敗より、その将の安全を重視していた。おそらく皇族の娘。

二度目の邂逅。四郎は娘の兜を奪い、大事そうに抱えた。一人になり、この次は髪だと思った。なぜか、首を落とす気がないことに気付く。


北漢に忠節を尽くすことを貫けるのか。楊業(ようぎょう)は悩む。いつも死に兵として使い捨てにされた。腹心であり、兄弟同然の王貴(おうき)に諭され、宋に帰順した。楊家軍三万を守るため、苦渋の決断だった。息子達も皆、同じ思いだった。

四郎延朗(えんろう)は違った。その眼は天下を見据えていた。楊家軍であることを隠し、宋軍の将校として、一人、北平賽(ほくへいさい)に籠る。遼に奪われた燕雲十六州に隣接する最前線。守兵僅か三千。
あの女が蕭太后の娘、瓊峨姫(けいがき)であることは分かっている....

---------------------------------------------------

この話を友達のA氏(上海出身)にすると、子供でも知っている有名な話で、その先(続編の「血涙 新楊家将」)の話をされて、ネタばれ… ダメージ大でした(^^ゞ
京劇でも有名だそうです。レッドクリフといい、中国の時代ものはタレントが星の数ほど輝いて、宝の山のようです。

北方謙三氏の「水滸伝」を読み終わり、
「次は、田中芳樹氏の中国物はすべて読むぞ」と誓った去年の師走(笑)

文庫本の上巻は発売日の朝、本屋へ買いに行きました(本当)

3 件のコメント:

  1. 単行本はPCと一緒に持ち運ぶには重くてなかなか(^^ゞ

    持ち運びに便利な新書や文庫本が大好きです(^^)/

    返信削除
  2. それほど有名なお話だったのですか。存じませんでした。
    中国の歴史は深いですからねー

    返信削除
  3. >zetto951
    コメント、ありがとう。読むと夢中になると思います(笑)

    返信削除